クラウドのレジシステムとExcelでの店舗運営に限界

Basis Pointは、まだコワーキングスペースという言葉が一般的でなかった2013年に最初の店舗を開設し、現在、都内に5店舗を構えている。Basis Pointオーナーの北村貴明氏は、「現在登録会員は2万人弱で、コワーキング業界では最大級です」と説明する。

会員型ビジネスの店舗では、会員管理、入退店管理、精算、売上管理などの管理業務が必要となる。Basis Pointでも当初はクラウドのレジシステムとExcelを組み合わせて売上管理をこなしていたが、料金体系が複雑なため一般的なレジシステムでは管理しきれなかった。

料金精算においては、利用時間を手計算し料金を算出するなど作業が複雑化・煩雑化していた。なにより、店舗の受付はほとんどがアルバイトのため、複雑な操作だと教育に手間がかかり、習得したころには辞めてしまうことも少なくなかった。

さらに北村氏は、「閉店後、顧客管理のための情報をレジシステムとExcelの両方に入力しており、これに多大な労力がかかっていました」と語る。

的確な提案と要件定義でスピード構築

会員管理、入退店管理、精算、売上管理を含む新たな基幹システムの検討を開始するも、一般的な飲食店とは違い、まだ珍しかったコワーキングスペースの業務に適応できるパッケージはなかった。そこで、知人の紹介からアドバンスド・コンサルティングに相談。FileMakerでシステムを作成できると回答を得た。あわせて複数のシステム会社に対して同じように要件を伝え見積もりをとったところ、費用もBasis Pointの要求を満たすものであり、採用を決定した。

開発は、Basis Pointから要望を伝え、それを基にプロトタイプを作成。その後微調整を行うという形で進んだ。北村氏は、「こちらからは要望だけを伝えましたが、それならこうすればいいと的確な提案をしてもらえ、要件定義が非常に速くできました。かなり完成度の高いプロトタイプが約1か月でできたのには驚きました」と語る。

店舗運営の効率化や戦略策定のための情報を獲得

新基幹システムは、2015年新橋店のオープンと同時に利用開始。会員管理、入退店管理、精算、売上管理などを行っている。店舗ではWindowsPCを利用し、オフィスではMacも利用しているため、システムはWindowsにもMacにも対応。インターフェースも、タッチパネル、マウス/キーボードの両方に対応している。

顧客には会員登録時、バーコード付きの会員カードが発行される。顧客が受付でカードを出すとバーコードリーダーで会員を特定。会員種別や入店時間などが自動的に記録される。同じように退店時にもバーコードを読み込めば、利用料金が自動計算される。以前に比べ計算スピードが速くなり、顧客の精算待ち時間が短縮できた。また、従来行っていたレジシステムとExcelへの入力業務からも解放された。

スタッフ教育の面でも新基幹システム導入の効果が現れている。北村氏は、「操作が簡単なので、新人アルバイトでも簡単に覚えられます。システムの操作教育に時間がかからなくなったので、マナーや接客、電話応対など本当に教えるべきことに注力できるようになりました」と語る。

さらに、データを一元管理できるようになり、分析も可能になった。「次の戦略を考えるうえで、今や利用データの分析は欠かせません」（北村氏）。

その後、新基幹システムは、店舗が増えるにつれネットワーク利用や店舗ごとの権限設定など必要な機能を追加。柔軟性が高いFileMakerだからこそ、手間をかけずに拡張が可能になっている。今秋には会員向けのスマホアプリをリリースし、会員DBと連携しながら、さらなるサービス向上を行っていく予定。アドバンスド・コンサルティングは、これからもBasis Pointの発展をサポートし続ける。